※ 結果的に一般ボランティアの介入により自然歩道の閉鎖はありませんでした
葦毛湿原の中の木道を歩く
湖西連峰の自然歩道を全て歩くことを達成するために、初めて豊橋市の「
葦毛湿原(いもうしつげん)からスタートすることにしました。駐車場などの場所は「赤岩寺」から「赤岩自然歩道」を歩いた帰りに確認してありました。広い駐車場はほぼ満車で、今まで史上一番の混み具合でした。
晴れたり曇ったりする不安定な空模様の下、珍しく午後のスタートです。
GPSコース図
葦毛湿原からスタート:画像クリックで説明書き
湿原の中を歩くのは楽しい
湿原というと「浜北森林公園」内にあるものを歩いたことがありますが、葦毛湿原は規模も大きく開放的な空間で、自然と気持ちが高揚してきました。きれいな鳥の鳴き声のする方に目を向けると木の枝にとまる姿を確認でき撮影にも成功しました。その後トンボが目の前に飛んできて自分の頭の上に止まったのですが、それは撮影できませんでした。楽しい気分で幸先の良いスタートです。
ホオジロの歓迎を受けた
緩やかで歩きやすい「岩崎自然歩道」に入る
「一息峠」を越える
分岐点から稜線に上がる
駐車場の混雑ぶりの通り、葦毛湿原を離れ
「岩崎自然歩道」で山道を登っていくと多くの人とすれ違いました。湖西連峰の中でも一番人気のコースなのだと実感しました。いつも思うことですが女性の姿がとても多かったです。
「一息峠」を越えて「階段下」分岐点で緩やかなルートから離れ急木段を上がりました。
「二川TV中継所」「座談山」「船形山」と激しいアップダウンが続く稜線への移動です。この稜線は5月に東西長距離往復しています。
急登を終えて反対方向 西の「東山」方面の稜線を見る
南方面 二川の街を見下ろす
この眺めの良い場所に「
大脇自然歩道」への分岐点があるのですが、豊橋市の大きな立て札で
「この先の自然歩道は令和4年9月1日で廃止です」と書かれていました。このときは、まだ歩いたことがないルートだから9月までにまた歩きに来なければと軽く思った程度でした。
座談山山頂から見えた浜名湖
座談山から下る
当初の予定では、船形山を過ぎてからの「
普門寺峠」で「
普門寺自然歩道」で北へ下山し、「
神石山自然歩道」で神石山まで登ってから折り返して戻って周回するつもりでした。しかし、普門寺峠にも豊橋市の自然歩道廃止の立て札が新たに設置されていて、普門寺側に下る登山口に立ち塞がっていました。前回は8時から16時の時間制限の通行を案内する立て札があり、本来の姿から逆行する傲慢なやり方だと憤慨したばかりでした。
ルート入口を塞ぐ立て札
この時点では南側の普門寺までのルートだけが対象なのだと思って、立て札のない北側ルートを下山したのですが、下り切った登山口にもこの立て札があり、これはどういうことなのだろうと理解できない心境になりました。麓の街中を少し移動して立て札のない
「神石山自然歩道」で登り始めたときも、このルートは今まで通りこれからも歩けるのだと思うと少し安心したのですが、稜線まで上がった場所にも立て札が設置されていたのです。
自然歩道が廃止とはどういうことなのか?
神石山まであと一登りの地点なのですが、そこからのルートは歩いたことがあるしこれからも歩くことができると思うと、
廃止されてしまう自然歩道を今のうちに歩いておいた方が価値があると判断し、折り返して自然歩道を往復することに変更しました。山頂に必ず行くというこだわりはありません。
最後かもしれない山歩を噛みしめた
帰宅してから気になって検索したところ、ちょうど山行当日の
6月9日の東愛知新聞の記事(リンク)を見つけました。
記事には自然歩道を維持管理している協議会が高齢化により解散するためとあり、豊橋市が引き継ぐものの利用者の少ない一部路線を廃止することを決めたようです。
一部路線とありますが、地図で確認すると一部どころの話ではありません。16の本支線のうち半分以上の9本も対象で、支線だけでなく本線(本坂峠~中山峠)も含まれているのです。湖西連峰の南北縦走はもうできなくなるということです。
自然歩道の維持管理の大変さはわかるものの・・・
令和4年9月1日以降自然歩道はゲートなど設置して立ち入り禁止になるということですが、なぜそこまでする必要があるのか私にはわかりません。危険だからというのでしょうが、それは山に入る以上整備されている道でもリスクはあるものです。マムシやハチの出現は関係なくあることです。
私が嫌な感じがするのは、事故等が起きたときに責任を取りたくないという行政側の逃げ腰の姿勢にあります。山を愛して山に入る人は、山行行動は全て自己責任というのを理解していると思います。整備が行き届いていないことの徹底周知や、リスク喚起、危険回避方法の案内などに力を注げばいいだけのことだと個人的に思います。
山中で聞いた話ですが、ボランティアで登山道の草刈りや整備をすると行政が裁判沙汰にまでしてトラブルになったことがあったそうです。自分たちでやれないなら民間(個人でも)にも協力を要請するとか、柔軟な対応をすれば良いと思うのです。
ハンカイソウの群生地があった
「
神石山自然歩道」にはルートから少し外れたところに
ハンカイソウの群生地があり、秘密の花園のような場所がありました。そこも今後は行くことができなくなるのでしょうか?寂しすぎます。
ユリの咲く道
実際に神石山・普門寺の2つの自然歩道を往復で歩いてみて、それまで大勢の人とすれ違っていたのに全く人影がなくなったし、あまり人が歩いてないのもわかりました。でも、踏み跡は十分しっかりしているし、危険を感じる箇所も今のところないし、人と会わないルートの方が私は好きです。
岩崎自然歩道で葦毛湿原に戻る
葦毛湿原の整備された道
いろいろ考えさせられる山行だった
「人が歩いて道ができる」です。必要がなくなって人が歩かなくなれば廃道になります。そういう道はいくらでも残っています。それが自然の法則です。自然に任せればいいことであって、まだ危険ではなく、歩きたい人がいるあいだは封鎖まですることはないと私は思います。
このままでは湖西連峰が死んでしまいます。